推しが辞めた

一人で抱え込むより誰かに聞いてもらうと楽になるから書くことにした。まとまりがないのはまだ混乱しているから。知り合いや本人には届きませんように。


タイトルの通り、推しが辞めた。本当に突然のことだった。

いつもみたいにイベントの後にエゴサをしている気配がなくて、忙しいのかなあなんて呑気に考えていた。そんな時にフォロワさんの呟きを見て、慌てて推しのページへ飛べば数日前に辞めたという報告をしたばかりだった。ガツンと頭を殴られたような衝撃を受けて、しばらく文字の意味が理解できず何度も目でなぞった。

たった何日か前に会って、特に変わった様子もなくて。これから大きなイベントも控えているのに。まだまだこれからも格好良い姿を見続けることしか頭になかったのに。なのにどうして突然。

辞めることを告げずに消えていく人が多い世界で、推しが辞めることを報告してくれたのはまだ救いがあるのかもしれない。

行ける限り会いに行け、と優しいフォロワさんに教えてもらっていたので行ける限りのイベントには全て会いに行っていた。推しは私が推しを好きなことをちゃんと知っていて、毎回優しくファンサをくれた。ステージの上で輝く姿を見て、行く度に好きになっていった。人生の半分以上をオタクとして過ごしてきたけれど、こんなに好きになったのは初めてだった。恋をすると世界が美しく見える。推しを好きになってから毎日楽しく生きていた。

もっと早くから推しの魅力に気付けていたなら、なんて思うこともあるけど今さら言ったところで何も変わらないし、イベントに行く事に推しの格好良さで心が満ち足りていたので後悔はなかった。


そうやって綺麗な思い出で自分を慰めていたら、推しが演じていたキャラクターもいなくなることを知らされた。そのキャラは推しがいなくなっても別の誰かが演じるのだろうと誰もが思っていた重要なキャラなのに。初めは推しではないことに違和感しかなくても、いつかは受け入れられるようになるんだろうな、なんて考えていたのに。僅かな希望に縋っていた心を打ち砕かれた気分だった。


仕事を休むことも考えたけど、家にいると碌なことを考えないと思いひたすら仕事に打ち込んだ。

仲の良い友達にも会って、慰めてもらったことで少し立ち直れた。


そして推しの生存確認をした。推しは何も変わらず推しのままで、元気そうで何よりだった。その全てを見たわけではないけど、なんて残念なんだと思った。推しの良さを活かしきれてないどころか殺している。いつもあまりの格好良さに他のキャラが目に入らない程夢中で見てしまうくらい魅力的だった推しに輝きを感じられなかった。見返せば見返すほど推しだとわかるのに何ひとつ喜べなかった。


キャラの方も初めは受け入れる心の余裕もなかった。敢えて推しに似せてきたことが辛かった。でも違う人が演じてもそのキャラはそのキャラだ。変わったけど違わないキャラに少し救われた気がした。


とある歌を聞いて、推しに直接好きだと言ったことがなかったのに気が付いた。手紙になら書いたことはあるし、明らかに態度に出ていたから推しは私が好きなことを知っていた。なかなか本人を目の前に好きですと言いにくいけど、ちゃんと言っておけばよかったなと、これだけは後悔している。

本当に本当に推しのことが好きだった。こんなに好きになったのは初めてだった。推しの為なら日本中追いかけるつもりだった。早めに教えてくれるなら海の向こう側だって追いかけていたかもしれない。

たくさんもらったファンサに幸せな思い出で今を生き繋いでいる。あなたのことが本当に好きでした。過去形になってしまったけど、今でもあなたが推しです。


 大好きなキャラの旅立ちを笑顔で見送ることができますように。